岡崎コンファレンスは分子科学研究所の特別研究の一環として1976年に始められ,すでに65回に達している。コン ファレンスの性格はこの会の提案者であった赤松秀雄初代所長の次の言葉につきる。
“ 会議は研究発表を主旨とするものではなく,共通の興味と問題に関して,いわば思索の過程において相互に経験や 意見を交換することを主旨とする非公式の会合である。そのためには,参加者相互の信頼と尊敬が基調となるもので あって,会議は非公開であり,また参加者の意見は当人の許可なくして公表してはならない。(赤松秀雄,分子研レター ズ,1号より)”
この方針は今日まで貫かれており,討論の場であることが明記されている。コンファレンスの主題は全国の研究者 の提案を受けて選考し,採択された主題の提案者を中心とした世話人に,外国人招待者を含めたすべての運営を一任 することにしている。その分野で活発に研究を行っている第一線の外国人研究者と国内の研究者がひざをまじえて非 公式に論議を交わすことによって,問題に対する意識を深め展望を拓く契機となっている。またそこで形成された人 間関係は研究面のみならずあらゆる面で大きな影響を及ぼしている。若い研究者を刺激し彼らの研究意欲をかきたて ていることも重要である。2000年2月現在で65回開催され,その成果は内外の研究者から高く評価されている。
この岡崎コンファレンスも、平成12年1月に開催された2つの岡崎コンファレンス、「次世代の分子軌道法」および
「ナノストラクチャ創製における放射光の果たす役割」をもって、一段落ということになった。上記2つのテーマにあ るように、岡崎コンファレンスは、これからの分子科学の基本的なテーマに関して、若手から成熟した研究者までの 広い世代からの要望を受けて、外部からの公募によって選定され開催されるものである。このような型のシンポジウ ムは、現在国内で開催されている短期プロジェクトに基礎をおくものとは目的が異なり、長期的視野からの展望を議 論する国際的な場を提供するものであり、共同利用研の重要な機能の一つであった。運営協議員会および評議員会に おいても岡崎コンファレンスの意義の大きさと、その継続の要望がなされており、本研究所としても、今後多国間国 際共同研究推進の一環として、岡崎コンファレンスを再開すべく準備を進めている。
開催一覧1(回 課題,開催日,提案代表者) 1.「光電極過程」1976.1.14 ∼ 1.16
坪村 宏(大阪大学教授)
2.「分子設計の基礎としての理論化学」1976.2.15 ∼ 2.18 土方 克法(電通大学教授)
3.「分子固体における運動自由度」1976.2.15 ∼ 2.18 千原 秀昭(大阪大学教授)
4.「共鳴及び非線型ラマン散乱」1977.1.18 ∼ 1.20
坪井 正道(東京大学教授) 田隅 三生(東京大学教授) 5.「分子・分子結晶の高エネルギー励起状態」1977.12.4 ∼ 12.7
田仲 二朗(名古屋大学教授)
6.「興味ある物性をもつ有機半導体−その電子構造の解明を求めて」1978.2.13 ∼ 2.15 佐野 瑞香(電通大学助教授) 井口洋夫(分子研教授)
2-8 岡崎コンファレンス
7.「高分解能分子分光の現状と将来」1978.9.4 ∼ 9.5 廣田 榮治(分子研教授)
8.「原子・分子・固体表面間の相互作用」1979.2.19 ∼ 2.21 諸熊 奎治(分子研教授)
9.「反応性中間体の分子設計−カルベン種を中心として」1980.1.7 ∼ 1.9 岩村 秀(分子研教授)
10.「分子性結晶の励起子ー輸送過程の見地から」1980.2.4 ∼ 2.6 井口 洋夫(分子研教授)
11.「分子内ポテンシャル研究の展望」1980.12.3 ∼ 12.5
鈴木 功(筑波大学教授) 町田勝之輔(京都大学助教授) 田隅 三生(東京大学教授)
12.「化学及び生化学過程における遷移金属錯体の役割」1980.12.11 ∼ 12.13 高谷 秀正(分子研助教授)
13.「短寿命分子とイオンー星間過程におけるその役割」1981.9.8 ∼ 9.10 齋藤 修二(分子研助教授)
14.「光化学反応初期過程」1981.10.20 ∼ 10.22
又賀 昇(大阪大学教授) 吉原經太郎(分子研教授)
15.「分子線によって生成する分子及びクラス夕ーの分光学と動力学」1982.11.15 ∼ 11.17 伊藤 光男(東北大学教授) 近藤 保(東京大学助教授)
茅 幸二(慶應大学教授) 木村 克美(分子研教授) 花崎 一郎(分子研教授)
16.「分子の動的挙動に対する磁場効果」1983.1.17 ∼ 1.19 林 久治(理化学研究所主任研究員)
17.「芳香族性と芳香族化合物」1983.9.26 ∼ 9.28
村田 一郎(大阪大学教授) 井口 洋夫(分子研教授) 18.「化学反応機構の理論の現状と将来」1984.1.19 ∼ 1.21
西本吉助(大阪市立大教授)
19.「宇宙空間における分子の形成と進化」1984.3.19 ∼ 3.21 花崎 一郎(分子研教授)
20.「機能化界面を用いた光化学的電子移動」1984.8.18 ∼ 8.20 田伏 岩夫(京都大学教授)
21.「特異な電子状態を有する金属ボルフィリン及びヘムタンパク質の物性」1985.1.29 ∼ 1.31 小林 宏(東京工業大教授) 北川 禎三(分子研教授)
22.「E X A F S とその物性への応用」1985.3.18 ∼ 3.20 黒田 晴雄(東京大学教授)
23.「分子科学 10 年,進歩と将来動向」1985.5.7 ∼ 5.8 井口 洋夫(分子研教授) 廣田 榮治(分子研教授)
24.「凝一次元系に於ける新物性の展望−電荷移動と電子−格子相互作用」1985.12.12 ∼ 12.14 辻川 郁二(京都大学教授) 丸山 有成(分子研教授)
三谷 忠興(分子研助教授) 那須奎一郎(分子研助教授) 25.「光異性反応の動的過程」1986.1.16 ∼ 1.18
伊藤 道也(金沢大学教授) 廣田 襄(京都大学教授) 閑 春夫(群馬大学教授)
26.「星間空間及び彗星における分子過程」1986.6.26 ∼ 6.28
花崎 一郎(分子研教授) 小谷野猪之助(分子研助教授) 齋藤 修二(分子研助教授) 西 信之(分子研助教授) 27.「高スピン分子とスピン整列」1986.9.8 ∼ 9.10
伊藤 公一(大阪市立大教授) 岩村 秀(分子研教授) 28.「極端紫外光による物性化学」1987.2.5 ∼ 2.7
井口 洋夫(分子研教授) 渡邊 誠(分子研助教授)
29.「イオン−イオン並びにイオン−溶媒相互作用に関する分子論的考察」1987.5.26 ∼ 5.28 大瀧 仁志(東京工業大学教授) 齋藤 一夫(国際基督教大学教授)
大峯 巌(分子研助教授)
30.「化学過程における電子のダイナミックス」1987.10.28 ∼ 10.30 田仲 二朗(名古屋大学教授) 吉原經太郎(分子研教授) 31.「気相クラスターのイオン化過程」1988.2.10 ∼ 2.12
朽津 耕三(東京大学教授)
32.「励起分子の化学挙動についての理論化学」1988.9.27 ∼ 9.29 笛野 高之(大阪大学教授)
33.「生化学分子の前生物的合成とキラリティの起源」1988.12.1 ∼ 12.3 原田 馨(筑波大学教授)
34.「燃料における化学反応」1988.12.20 ∼ 12.22
神野 博(京都大学教授) 幸田清一郎(東京大学助教授) 林 光一(名古屋大学講師)
35.「金属クラスター化合物の合理的合成と金属多中心骨格構造に基づく協同現象」1989.5.23 ∼ 5.25 齋藤 太郎(大阪大学教授) 山崎 博史(理化学研究所主任研究員)
伊藤 翼(東北大学教授) 磯邊 清(分子研助教授) 36.「水素ー電子結合系での物性の創造」1989.11.13 ∼ 11.15
三谷 忠興(分子研助教授)榎 敏明(東京工業大学助教授) 中筋 一弘(分子研教授)
37.「酸性物高温超伝導体─ その物質と超伝導機構─」1990.2.13 ∼ 2.15 田仲 二朗(名古屋大学教授) 武居 文彦(東京大学教授) 北沢 宏一(東京大学教授)
38.「生体系金属錯体の構造と動的側面」1990.10.16 ∼ 10.18
山内 脩(名古屋大学教授) 森島 績(京都大学教授) 北川 禎三(分子研教授)
39.「分子素子を目指した機能分子の開発とその組織化」1990.10.25 ∼ 10.27 清水 剛夫(京都大学教授) 小林 孝嘉(東京大学助教授) 丸山 有成(分子研教授)
40.「非線型化学反応と自己秩序形成」1991.2.23 ∼ 1.25
北原 一夫(東京工業大学教授) 中村 宏樹(分子研教授) 吉川 研一(名古屋大学助教授) 花崎 一郎(分子研教授)
41.「有機反応過程研究における理論化学と物理有機化学との接点」1991.9.30 ∼ 10.2 速水 醇一(京都大学教授),西本 吉助(大阪市立大教授)
野依 良治(名古屋大学教授) 42.「分子科学:現状と将来」1992.1.7 ∼ 1.9
井口 洋夫(分子研所長) 正畠 宏祐(分子研助教授) 中村 宏樹(分子研教授)
43.「レーザー光電子分光の新展開」1992.3.10 ∼ 3.12 木村 克美(分子研教授)
44.「化学反応理論の新しい展開」1992.11.4 ∼ 11.6
諸熊 奎治(分子研教授) 中村 宏樹(分子研教授) 中辻 博(京都大学教授) 岩田 末廣(慶應大学教授)
45.「金属錯体における分子内及び分子間電荷移動の化学」1992.12.8 ∼ 12.10 中村 晃(大阪大学教授) 大瀧 仁志(分子研教授)
46.「シンクロトロン放射による分子科学研究の現状と将来の展望」1992.12.16 ∼ 12.18 正畠 宏祐(分子研助教授) 渡邊 誠(分子研助教授)
鎌田 雅夫(分子研助教授) 磯山 悟朗(分子研助教授) 47.「緩和現象における溶媒の動力学効果」1993.10.5 ∼ 10.7
吉原經太郎(分子研教授) 岡田 正(大阪大教授)
48.「分子設計されたフタロシアニン錯体を用いた分子素子の探求」1994.1.26 ∼ 1.28 籏野 昌弘(東北大教授) 藥師 久彌(分子研教授) 丸山 有成(分子研教授) 49.「超臨界流体中に生成するクラスターの構造とダイナミックス」1994.3.16 ∼ 3.18
梶本 興亜(京都大教授) 冨宅喜代一(分子研助教授) 大峯 巌(分子研助教授)
50.「電子欠損型遷移金属錯体の機能」1994.8.1 ∼ 8.3
巽 和行(名古屋大教授) 高橋 保(分子研助教授) 51.「表面における光誘起過程のダイナミックス」1994.10.5 ∼ 10.7
村田 好正(東京大教授) 松本 吉(分子研助教授)
52.「実験室及び天分サブミリ波分光」1995.3.14 ∼ 3.16 斎藤 修二(分子研教授)
53.「スピン化学の新展開」1995.10.19 ∼ 10.21
林 久治(理化学研究所主任研究員) 廣田 襄(京都大教授) 佐藤 博保(分子研教授) 54.「水素原子移動反応の動力学的研究」1996.1.23 ∼ 1.25
閑 春夫(群馬大教授)
55.「生体機能発現における金属蛋白質の作用機構」1996.2.5 ∼ 2.7 干鯛 眞信(東京大教授) 渡辺 芳人(分子研教授) 56.「凝縮相中の量子動力学;化学系への応用」1996.9.27 ∼ 9.29
C oalson, R ob D .(ピッツバーグ大学) 谷村 吉隆(分子研助教授) 57.「呼吸鎖末端化酵素の反応場と作動機構」1996.10.28 ∼ 10.30
茂木 立志(東大理教授) 小倉 尚志(分子研教授) 58.「分子性伝導体研究の現状と将来の展望」1997.3.7 ∼ 3.9
小林 速男(分子研教授) 藥師 久彌(分子研教授)
59.「無機化合物を構成要素とする機能性積層膜の分子構築とその機能」1997.8.7 ∼ 8.9 山岸 皓彦(北海道大学教授) 芳賀 正明(分子研教授)
60.「化学反応ダイナミクスの光制御」1997.9.22 ∼ 9.24
藤村 勇一(東北大学教授) 川崎 昌博(京都大学教授) 61.「時間分解振動分光による液体ダイナミクス」1998.1.21 ∼ 1.23
富永 圭介(分子研助手) 奥村 剛(分子研助手) 斉藤真司(名古屋大学助手) 62.「分子科学における構造的階層:ナノ・メゾ構造からミクロ構造まで」1999.1.10 ∼ 1.13
相田 拓三(東大教授) 藤田 誠(分子研助教授)
63.「気相分子クラスターのレーザー分光−構造とダイナミックスの接点−」1999.3.23 ∼ 3.25 江幡 孝之(東北大助教授) 藤井 正明(分子研教授)
64.「次世代の分子軌道法」2000.1.20 ∼ 1.22
天能精一郎(名古屋大助教授) 中野 晴之(東大講師) 波田 雅彦(京大助教授) 南部伸孝(分子研助手) 65.「ナノストラクチャ−創製における放射光の果たす役割」2000.1.27 ∼ 1.29
宇理須恆雄(分子研教授) 黒澤 宏(分子研教授)
(第 65 回までの外国人招待研究者は、これまでの「分子研リポート」を参照)